コラム

配偶者ビザの手続きの流れ~外国人配偶者が海外に居住している場合~

配偶者ビザ 2024.05.31

日本人と外国人の方が結婚し、日本で暮らすことになった場合、配偶者ビザを取得するのが一般的です。
外国人が日本に入国し在留するためにはビザが必要で、審査に通った方だけが入国し在留することが認められます。
配偶者ビザも同様で、結婚すれば必ずビザが取得できるわけではなく、許可を得た方だけが入国・在留を認められます。
本稿では、外国人配偶者が海外にいる場合の、配偶者ビザを取得するまでの手続きの流れを解説します。

手続きの流れの概要

海外から外国人配偶者を呼び寄せる場合、おおむね以下の手順をたどることになります。

  • ①入国管理局に在留資格認定証明書交付申請
  • ②入国管理局での審査
  • ③入国管理局から在留資格認定証明書が交付
  • ④在外日本公館での査証申請
  • ⑤日本の空港での上陸審査
  • ⑥在留カードの交付

入国管理局での審査が最も時間がかかるところで、平均して2カ月ほどかかります。

申請の準備期間も考えると、準備をスタートして日本で一緒に暮らし始めるまでに早くても4カ月はかかると見込んでおいてください。転居や転職時期、お子さんの入学時期に合わせて来日してもらいたいとお考えの方は、来日希望時期から逆算して準備を進めるとよいでしょう。

 

なお、配偶者ビザとは、一般的には在留資格「日本人の配偶者」「永住者の配偶者」のことを指して言われていますが、正確には、ビザ(VISA)とは在外公館で発給される査証のことを指します。

「査証」とは、それが貼付されたパスポートを所持する外国人が日本に入国するにあたって問題のない人物であると在外日本公館がみとめた“推薦状”のようなものです。一方で、「在留資格」とは、外国人が日本に在留する資格一般を言います。

小難しい話ですが、外国人が入国するために査証(ビザ)が必要であり、入国した外国人が日本で滞在し続けるために「在留資格」が必要になる、と考えていただければ結構です。

 

では、入国管理局が交付する「在留資格認定証明書」とは何か?というと、申請人となる外国人に対して査証を発給しても問題がない、という入国管理局から在外公館に向けた推薦状の役割を果たしています。

 

つまり、外国人が日本に住み始めるまでには、入国管理局が推薦(在留資格認定証明書)⇒さらに在外公館が推薦(査証)⇒日本で暮らす資格(在留資格)を取得する、という流れになります。

 

続いて、それぞれのプロセスについて解説していきましょう。

入国管理局に在留資格認定証明書交付申請を提出

まずは、入国管理局に申請を行うところからスタートです。

必要な書類を準備し、管轄の地方出入国在留管理局に提出します。管轄は申請代理人の住所地によって決められています。管轄外の入管に提出しても、申請は受け付けられません。

 

ここで、申請代理人とは、申請人(=外国人配偶者)にかわって申請を行うものをいいます。だれでも申請代理人になれるわけではなく、ビザの種類によって申請代理人になることができる権限が定められています。

配偶者ビザの場合は、日本にいる外国人配偶者の親族と定められており、申請人の配偶者、つまり日本にいるパートナー側が申請代理人として申請を行うのが一般です。

 

また、申請権限とは別に、入国管理局に書類を提出することができる権限も定められています。

申請人本人、申請代理人の他、地方出入国在留管理局長に届出をした行政書士または弁護士が、申請を提出することができます。

入国管理局での審査

申請を提出すると、入国管理局での審査が始まります。

提出した書類に不備があったり、審査官がさらに事実を確認したいと判断した場合は、審査中に審査官から追加の資料提出を求められることもあります。

 

審査期間は1カ月~3カ月とされており、時期や審査局の混雑具合によって異なりますが、平均して2カ月ほどで審査が完了します。

入国管理局から在留資格認定証明書が交付

審査が完了すると、提出先の入国管理局から、審査結果が届きます。

申請人または申請代理人の住所への郵送が原則ですが、行政書士が申請を提出した場合は、行政書士の事務所に届くようになっています。

 

審査結果が許可の場合は、「在留資格認定証明書」が交付されます。

残念ながら審査の結果、不許可と判断された場合は「在留資格認定証明書交付決定通知書」が届きます。

在外日本公館での査証申請

無事に入国管理局から「在留資格認定証明書」が交付された後は、郵送もしくはデータ転送で、在留資格認定証明書を外国人配偶者に渡してください。

在留資格認定証明書を受け取った外国人配偶者は、海外にある日本大使館もしく日本領事館に査証申請を行います。日本大使館・領事館にも管轄があり、自身の居住地によって管轄が異なりますので、事前に確認しておいてください。

 

外国人配偶者は、在留資格認定証明書の他、査証申請書、パスポート、証明写真などの必要書類を揃えて、日本公館の窓口に提出してください。おおむね1週間ほどで査証が発給され、パスポートと一緒に返却されます。

 

なお、入国管理局から交付された在留資格認定証明書には有効期限があり、発行日から3カ月と定められています。3カ月以内に、査証申請を行わなければ、最初からやり直しになりますので、期限を過ぎないように注意しましょう。

日本の空港での上陸審査

来日の準備が整い、航空券の手配が済んだら、いよいよ日本に出発です。

日本の空港では、すべての外国人が日本に上陸しようとする際に、上陸審査を行っています。上陸目的や滞在期間を確認し、問題がなければ上陸許可となります。

配偶者ビザをもっている方は、基本的には問題なく上陸許可されているのが実情です。

 

なお、査証にも有効期限があり、査証発給日から3カ月以内に上陸審査を受けなければなりません。航空券の予約をされる際には、査証発給日から3カ月以内に日本に到着する便を選んでください。

在留カードの交付

空港での上陸審査が終わり、無事に上陸が許可されると、在留カードが交付されます。

主要空港(新千歳空港、成田空港、羽田空港、中部国際空港、関西空港、広島空港、福岡空港)では、その場で在留カードが交付されます。これらの空港以外の空港や海港から上陸した場合は、後日に市区町村役場で居住地の届け出を行った後、東京出入国在留管理局から在留カードが自宅に郵送されます。

 

在留カードは外国人が日本に在留するステータスを顕したもので、外国人の身分証の役割も果たしています。在留カードが交付された外国人は、在留カードを携帯する義務がありますので、外出の際には常に携帯するようにしてください。

 

また、上陸時には在留カードの「居住地」が空欄になっています。入国し住居を定めた日から14日以内に、お住まいになる市区町村役場に居住地を届け出てください。届出をすると、在留カードの裏面に居住地が記載されます。

まとめ

このように、外国人配偶者が日本で暮らし始めるまでには、①入国管理局での審査、②在外公館での審査、③日本の上陸空港での上陸審査という三段階の審査があります。

ただし、その成否は、ほぼ①の入国管理局での審査で勝負が決まるのが実情で、あとはエスカレーター式で手続きが流れていくことになります。言い換えれば、入国管理局での審査が最も重要になり、これをクリアできなければ、次に進むことはできません。

 

私たち行政書士は、入国管理局への申請手続きをサポートしています。大切な人生の節目の最初の一歩でつまずかないためにも、まずは専門家に相談されることをおすすめします。